『主権回復国際社会復帰記念の式典』に関する中央フォーラム事務局長見解

掲載日:2013.03.13

中央フォーラムは12日、『主権回復国際社会復帰記念の式典』の関する事務局長見解』を表明しましたのでお知らせいたします。

 

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「主権回復国際社会復帰記念の式典」に関する事務局長見解

 

2013年3月13日

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 藤本泰成

 

 3月12日、政府主催の「主権回復国際社会復帰記念の式典」を、1952年の「サンフランシスコ講和条約」が発効した4月28日に合わせて開催することを閣議決定しました。政府は「(敗戦から)7年間の長い占領期間を知らない人が増えている」「節目の日を記念し、わが国の国際社会の平和と繁栄への貢献の意義を確認する」との理由を示しています。しかし、これまで政府主催のこのような式典が開かれたことはなく、唐突に天皇・皇后までも巻き込む式典を開催する理由とは考えられません。

 

 「サンフランシスコ講和条約」は、そもそも全面講和ではなく、ソビエト連邦(当時)やポーランド、チェコスロヴァキア(当時)などの国は調印していません。インドやビルマ(当時)、中華人民共和国などは参加していません。それらの国との和平は先送りされました。

 日本本土の米国の占領政策が終了する中、この条約により「南西諸島や小笠原諸島を合衆国の信託統治に置く」とされ、沖縄県民などはその後長く米軍統治下に置かれ、苦難の生活を強いられました。沖縄県民はこのような経過から、4月28日を「屈辱の日」と呼んでいます。また、戦前・戦中の植民地政策の中で、様々な形で日本での生活を強いられた在日韓国朝鮮人の問題もそのまま残されました。

 

 政府は「沖縄の県民の苦難の歴史を忘れてはならない」としました。現在沖縄は、辺野古新基地建設、東村高江のヘリパット建設、普天間基地へのオスプレイ強行配備などに県民が猛烈に反発しています。また、米軍関係者の犯罪も絶えることなく「日米地位協定」の全面改定も急務とされています。全く問題解決ができない中で、沖縄県民の寄り添うような言葉だけでごまかし、県民が「屈辱の日」と呼ぶ4月28日を祝うことが許されるでしょうか。植民地支配を反省することなく、在日韓国朝鮮人の生徒が通う朝鮮学校を「高校無償化制度」の適用から排除を政権誕生早々に実現させ、さらに河野談話を否定し「近隣諸国条項」の廃止をもくろむ安倍自民党政権のもとで、自らの「解放」だけを喜ぶことが許されるでしょうか。

 

 平和フォーラムは、唐突な「主権回復国際社会復帰記念の式典」に反対するとともに、これらの課題の解決に政府が真剣に対応することを強く求めます。そのことが真の意味での国際社会への日本の復帰につながり、日本全体で心から主権回復を祝うことができると考えます。